週間VD健康モニター

 軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)は認知症の初期症状と言われています。

 MCIの状態は、社会生活に支障が出ないため発見が難しいのですが、早期に発見・予防対策をすることで認知症への移行を遅らせることができると言われています。逆に、MCIの状態を放置してしまうと、1年で10%の方が認知症に進行してしまい、支援や介護が必要になってしまいます。

 週間VD健康モニターは、1週間の食生活などを振り返ることで利用者の方々の生活の見直しを促すとともに、MCIの状態を推定し、早期に医師等への支援を要請することができるものです。

よくあるご質問

ビタミンDについて

Q: ビタミンDを多く含む食品はなんでしょうか

A: ビタミンDが含まれている量が多い食品は、魚類です。きのこ類、卵、肉類からも摂取できますが、含まれている量は魚類に比べると多くはありません。日本人の食事摂取基準を見ると、20歳以上の男女のビタミンDの目安量は8.5μg/日です。鮭やサンマを1人分食べることで、1日の目安量を満たすことができます。魚を食べる頻度が少なくなると、ビタミンDの摂取量が不足する傾向があります。週に3回は魚を摂取することをお勧めします。

Q: ビタミンDが不足すると、どのような症状が出ますか?

A: ビタミンDは、脂溶性のビタミンの1つで、血液中のカルシウム濃度を調節する働きがあることが知られています。血清カルシウムは、不足した場合、骨からの動員、腎臓からの排泄抑制、腸からの吸収促進により、一定に保たれています。この際、ビタミンDはこれらの働きをプラスにする方向で働きます。したがって、ビタミンDが不足すると、血清カルシウム値が低下し(低カルシウム血症)、くる病や骨軟化症を発症します。

Q: ビタミンDのカルシウム代謝以外の働きはなんでしょうか?

A: われわれは、ビタミンDはほとんどの組織に働くホルモンとしての働きを持っていると考えています。多くの論文でも報告されているように、筋肉や骨の成長、免疫系(糖尿病や甲状腺機能低下など)、がん細胞の成長を抑制、インスリンの放出、高血圧症の予防、血管の炎症予防、うつ症状の改善、脳神経の発達など多岐に渡ります。われわれは、このうち、筋肉や骨、脳神経の発達に着目しています。

Q: サプリメントの服用について

A: ビタミンDの充足には、できれば、日光や食事からの摂取がおすすめです。難しい場合は、サプリメントで補う事も必要です。1日の必要量の半分を、6ヶ月間、70歳代後半の高齢者に服用していただいたところ、歩行速度の向上(Hasegawaら、Health, 2018)、糖尿病の方の認知機能の向上(Hasegawaら、Int J Nurs Clin Pract, 2019)が認められました。


但し、脂溶性ビタミンであるビタミンDは、過剰な分を排泄することができず、体に蓄積してしまうリスクがあります。サプリメントでビタミンDを摂取するときは過剰摂取にも気を付けてください。

Q: 皮膚で紫外線からビタミンDを作ることが可能ですが、日光浴はどの程度すればいいでしょうか?

A: 日照時間が多い京都府宇治市と少ない石川県七尾市を比較すると、宇治市の高齢者の方の方が、ビタミンDの欠乏者の割合が少ないことを確認しています(Hasegawaら、Int J Nurs Clin Pract, 2022)。手のひらに直射日光が当たる体勢で、夏場なら15分以上、冬場なら30分以上の日光に直接浴びる日光浴が必要と言われています。したがって、手足には、できるだけ、日焼けとめの使用は避けるほうが良いかと思います。

認知機能について

Q: 認知機能とは?

A: 様々な定義がありますが、厚生労働省によると「理解、判断、論理などの知的機能のこと」とされ、一般的に生活場面で必要な情報の理解や状況の判断、自分の考えをまとめる機能を指しています。

Q: 認知症や軽度認知障害(MCI)はどのような症状がありますか?

A: 認知症の中心的な症状には、記憶や場所・時間がわからなくなる、言葉が出にくい・理解しにくい、予定を組めない、人の感情が読み取れない、転倒しやすいといった中核症状があります。

 また、何度も同じことを聞く、慣れた道で迷って歩き回る、急に怒りっぽくなる、やる気が出ないといった行動心理症状もあります。

 こうした症状で日常生活に困った場合は、早めに専門機関に相談することが大切です。

Q: 認知症や軽度認知障害(MCI)の予防はどうしたらよいですか?

A: 一般的に、生活リズムを整えることが大切だといわれています。つまり、食事・家事・運動・交流・睡眠を整えましょう。加えて、手指を使う活動や旅行、趣味、新しいことに取り組むことも良いとされています。

 身体の健康に加えて、心の健康を整えることも非常に大切です。笑顔で安心して暮らす生活を心がけてください。

Q: 認知症や軽度認知障害(MCI)に関する相談は、どこにしたら良いですか?

A: まずは、お住まいの市町村にある「地域包括支援センター」もしくは「社会福祉協議会」への相談をお勧めします。

Q: 認知症の検査はどこでできますか?

A: 週間VD健康モニターは、ご自身で確認するための1つのツールです。 詳細な検査をしたい場合は、都道府県ごとに設置されている「認知症疾患医療センター」にご相談ください。 また、ご不明な際には「地域包括支援センター」もしくは「社会福祉協議会」に尋ねてみてください。

Q: 認知症や軽度認知障害(MCI)の方にはどのように接したらよいですか?

A: まずは、ご本人が安心して過ごすための環境設定と声かけが大切です。時にはそっと見守りながら、本人が失敗しないように支援することが必要です。

 そのためには、ご本人と一緒に、「できること」と「苦手なこと」を整理することが大切です。同様に、ご家族も不安を抱えすぎないように、外出等でリフレッシュしたり、相談できる環境が大切です。